日本のダム 岩船ダム

新潟県関川村の荒川上流に建つ「岩船ダム(いわふねダム)」。巨大で観光色の強いダムとは違い、静かに水をたたえ、発電を支える姿が印象的なダムです。派手さはありませんが、自然と調和した景観と、重厚な構造美が魅力の“知る人ぞ知る”スポットです。

岩船ダムの概要

所在地:新潟県岩船郡関川村

型式:重力式コンクリートダム

竣工:1961年(着工は1960年)

規模:堤高30.2m、堤頂長92.6m

目的:発電専用(東北電力系列・荒川水力電気が管理)

堤体は直線的で無骨なデザインながらも力強く、川の流れをせき止めて電力に変えるその姿には、建設当時の技術力と合理性が感じられます。

ダムの機能と特徴

ダム湖:石を敷き詰めたように見える湖面は「人造湖」で、湛水面積は約67ha。

貯水容量:総貯水容量587万㎥、有効貯水容量107万㎥。

発電能力:直下に設けられた岩船発電所で最大11,500kWを発電。今も地域の電力供給を支えています。

水門設備:堤体にはローラーゲートを4門備え、放流や水量調整を的確に行っています。

見どころと魅力

重厚な構造美
高さ30mあまりの堤体は規模こそ大きくはないものの、力強い直線的なフォルムが印象的。機能美あふれる姿は写真映えも抜群です。

静けさに包まれた環境
観光施設は少なく、周囲は豊かな自然に囲まれています。人影も少なく、ダム本来の存在感を静かに楽しめるのが魅力。

四季の表情
春は新緑、秋は紅葉が湖面を彩り、冬は雪に包まれるなど、季節ごとに違った美しさに出会えます。

訪問のヒント

アクセス:関川村の山間部にあり、訪れるには車が便利。公共交通は少ないため、ドライブでの訪問がおすすめです。

見学時の注意:ダム管理区域は立入禁止の場合が多く、フェンス越しに見学するスタイル。安全を守りながら静かに眺めましょう。

周辺観光:関川村は温泉や歴史ある建物も点在し、ダム見学とあわせて地域全体を楽しめます。

まとめ

岩船ダムは、地域の電力を支える発電専用ダムとして、60年以上にわたり荒川の流れを利用し続けています。観光向けの派手さはないものの、自然の中に静かに溶け込む姿は独特の存在感を放ちます。

新潟の山あいを訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。水と自然、そして人の技術が生み出した「静かな力強さ」に出会えるはずです。