日本のダム 旭川治水ダム
旭川治水ダムは、秋田県秋田市に位置する重力式コンクリートダムで、雄物川水系旭川に建設されています。ダムの主な目的は、秋田市とその周辺地域の洪水調節と不特定利水のためです。高さ51.5メートル、堤頂長380メートルのこのダムは、1972年に完成しました。ダムによって形成された仁別湖は、洪水時に貯水するための重要な役割を果たしています。
建設の背景と目的
旭川治水ダムの建設は、秋田市を度重なる洪水被害から守るために始まりました。秋田市は古くから「暴れ川」として知られる旭川による洪水被害に悩まされてきました。ダムの建設は、旭川上流部の乱伐による保水力の低下と、それに伴う土石流のリスクを軽減するためにも必要でした。また、農業用水の確保や水質汚濁の改善という目的もありました。
環境への配慮と成果
旭川治水ダムの建設プロジェクトでは、環境保護に特に配慮されました。建設中に発生する廃水は再処理され、ダム建設に必要な骨材の洗浄に再利用されるというリサイクルシステムが取り入れられました。これは、当時としては革新的な取り組みであり、現在の廃水リサイクルの先駆けとなりました。ダムの運用開始以降、秋田市における洪水のリスクは大幅に減少しました。
仁別湖とその役割
ダムによって形成された仁別湖は、治水ダムの特性上、通常時は水位が低く保たれています。しかし、豪雨時には洪水を貯水するための重要な役割を果たします。2007年の環境省の水質調査では、仁別湖は全国の湖沼の中で4番目に良好な水質と評価されました。
まとめ
旭川治水ダムは、秋田市の洪水防止と水質改善のための重要な施設です。環境保護の観点からの革新的な取り組みや、効果的な洪水調節機能により、地域社会にとって不可欠な役割を果たしています。仁別湖は自然災害時の貯水機能のみならず、その優れた水質によっても価値を持っています。
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